写真にあるように、半丸の軒といを、エンドキャップを使わず、納める方法です。
今でも鋼板雨といの多い地域では、見かけますが、
寒冷地以外では、見る機会も少なくなりました。
*以前に撮影した新建工舎設計さんの物件写真を使わせて頂きました
そんな菊絞りの話が先日ある方から出ました。
ちょうど半丸の中心部分が、少しだけ欠けたような形になる菊絞り。
その部分がうまい具合にオーバーフローの役割を果たすのではないかとのこと。
住宅用の軒といは大型化が進んでいます。
ゲリラ豪雨への対応や、破風板自体が厚い建物が多いこともその理由だと思われます。
軒先のラインを薄く見せようと思うと、大きな軒といはどうしても目立ってします。
スタンダードが採用される理由のひとつは、控えめな大きさということもあるようです。
家を守る工務店の側からすると、できれば大きな軒といにしておいた方が安心。
建物側に雨が溢れてしまっては、問題が出ることも考えられます。
菊絞りはそんな点でも有効ではないかというお話でした。
通常、当社に雨といの計画を依頼されると、
140~160mm/h程度の雨量計算で、大きさを提案します。
(理科年表で地域の降雨量を考慮する)
どうしてもという話があれば、100mm/h程度まで抑えて、計算することも。
オーバーフローを含めて計画できれば、大きさを抑えやすくなりますね。
他にも、興味深いことがあります。
例えば、リビングなどからオーバーフローする様子が見えるようにデザインすれば、
今日は雨が飛び出しているから、かなりの雨量だと、住まい手が気づくようになります。
子どもがいれば喜ぶかもしれません。
ヨーロッパで見かけるガーゴイルのようですね。
またこんな時にも役立ちます。
あまり雨が降っていないのに、オーバーフローしている。
つまり雨といがどこかで詰まっているということを発見出来るというわけです。
雨の様子が住まい手にうまく伝わる。
これも雨のみちをデザインする仕事といえるかもしれません。
*写真でしか見ていませんが、アアルトのルイ・カレ邸の軒とい。
菊絞りではありませんが、たて樋がなく、そのまま噴射するようなデザインです。
これこそ、雨の様子が一番よくわかるデザインかもしれませんね。